カナダは英語留学の候補地として高い人気がある国として知られています。しかし、日本に住む私たちが中学校や高校での授業や英会話学校で学ぶ英語は、往往にしてアメリカ英語かイギリス英語です。
このような環境からも、今まで海外へ行ったことがなければ、カナダ英語に触れたことがあるという人は、かなり少ないのではないでしょうか。実際に、アメリカやイギリスと比較してカナダの英語はどうなの?と考えている人も多いようです。今回はカナダ英語の特徴と魅力について解説いたします。
カナダ英語とは?
カナダ英語の歴史
約1700万人の人が使用しているカナダ英語は、イギリス英語とアメリカ英語の両方の要素で構成されています。また、カナダ英語に限定された英語表現も存在しますが、これらはカナダのもうひとつの公用語である、フランス語からの影響により形成されたといわれています。
一時は「崩壊方言」とまで言われたカナダ英語ですが、このようにカナダ英語が確立された背景には、カナダの位置とイギリスの植民地であった過去、そして大量移民の歴史の影響が大きく関わっているのです。
その歴史とは、イギリス出身の保守派トーリー党が、アメリカ独立戦争から落ち延びてきたとき、1812年の米英戦争後にイギリス人とアイルランド人がカナダへ大量に移民してきたとき、カナダを多文化主義国にするためのグローバリゼーション時代における言語的変化への受け入れ時期、そして、ローワー・カナダで話されるケベック・フランス語からの影響により語彙が追加されたときです。これらの4つの歴史的要因がいまのカナダ英語を生み出したのです。
カナダは北米にありアメリカ国境のすぐ上に位置しているため、アメリカ英語の影響を強く受けていると思われがちです。しかし、過去200年にもおよぶこれらの歴史により、独自の英語が存在しているのがわかります。
カナダ英語の綴り
カナダ英語の綴りは、イギリス英語とアメリカ英語の規則が混合しています。例えば、カナダではアメリカと同じく、「tyre」「kerb」を使用せず「tire」「curb」を使用します。また、「realize」や「paralyze」などの単語は通常「-ize」「-yze」と綴られ、イギリス英語のように「-ise」「-yse」を使用しません。
また、カナダ英語の綴りはカナダ産業とも深く関わっているため、小切手でれば、カナダにとって重要であったイギリス金融機関の名残で「cheque」、また自動車産業はアメリカを発祥としているため、自動車関連の単語である「truck」(イギリスでは「lorry」)、ガソリンは「gasoline」(イギリスでは「petrol」)など、アメリカ英語が使用されています。
またフランス語の影響を受けた、カナダ英語としては、「color」や「center」など、アメリカ英語では「-or」「-er」で終わる単語が、「colour」「centre」など「-our」「-re」という綴りに変わります。
カナダ英語の発音
東西に幅広い広大な土地を有し、地域によっては同じ国内であっても時差が発生する国カナダですが、それだけかけ離れた場所であっても、カナダ全土では、ほぼ同じ質の発音で英語を使っているといわれています。
例えば、iceの母音である/aɪ/や、houseの母音である/aʊ/は、無声子音 [p], [t], [k], [s], [f]の前ではそれぞれ [əɪ]、 [əʊ]と発音され、この傾向はカナダ全体で見らます。しかし、最近では一部の若者間ではこの傾向が弱くなってきているともいわれています。
また、本来では二重母音であるboatなどの/oʊ/、baitなどの/eɪ/は短母音に近い音質を持っており、/o/や/aʊ/などの母音は後舌で発音される。borrow、sorry、tomorrowなどの単語は[ar]ではなく[ɔr]と発音されるなど、まだまだ他にもたくさんありますが、このような発音がカナダ英語の特徴です。
また、感覚的な意味でのカナダ英語の発音は、イギリス英語のように一つ一つの単語にアクセントを置いて話すような強い音ではなく、抑揚はあるけれどすっきりと流れるような発音であり、なおかつアメリカ英語のように、舌をまく形でべらべらと一気にまくし立てる話し方ではなく、一つ一つの文章にきちんと区切りをつけて話す傾向があります。
カナダ英語とアメリカ英語・イギリス英語との違い
カナダ英語は、イギリス英語とアメリカ英語がミックスされていますが、具体的にはどんな違いがあるのか見てみましょう。カナダ英語は単語によって、アメリカ英語と使う場合と、イギリス英語を使う場合があります。
例えば、イギリスとカナダ共通の言語は、
メートルであれば、アメリカは、meter 、イギリスとカナダは、metre
小切手であれば、アメリカは、check 、イギリスとカナダはcheque
中心であれば、アメリカは、center 、イギリスとカナダはcentre
味であれば、アメリカは、flavor、 イギリスとカナダはflavour
中止したであれば、アメリカは、canceld、 イギリスとカナダはcancelled
そして、アメリカとカナダ共通の単語は、
飛行機であれば、イギリスは、aeroplane 、アメリカとカナダはairplane
昇降機であれば、イギリスは、lift 、アメリカとカナダはelevator
貸し部屋であれば、イギリスは、flat 、アメリカとカナダはmetre
また、それぞれ違う形で、
トイレであれば、カナダは、washroom 、イギリスとアメリカはrestroom
炭酸飲料であれば、カナダは、pop 、イギリスは、fizzy pop 、アメリカはsoda
最後に、カナダ人は、だよね?という付加疑問文の際には、文章の最後に
It was a cool bar eh!? のように、”eh !?”(エィ)という言葉を付けるので、カナダ英語なのかどうかの見分け方としてとても有名です。
カナダ英語はなぜ綺麗なのか?
カナダ英語は、その歴史と北米という環境から、アメリカ英語とイギリス英語の両方の英語表現が自然とミックスされた国際標準語としての英語を話します。アクセントも方言もさほど強くないニュートラルな英語と、基本的に穏やかな性格の人が多いといわれているカナダ人気質が加わり、ゆっくりと分かりやすい英語を話す人が多いのです。
このことから、英語初心者にとってもネイティブスピーカーにとっても、非常に聞きやすい綺麗な英語として認識されています。その証拠に、国際的なニュース番組ではカナダ人のニュースキャスターが起用されることも多いと言われています。
また、移民大国であるカナダは英語を第一言語としない人がたくさん住んでいます。カナダ人は、ネイティブスピーカーでない人が話す方言や、アクセントが強い英語にも比較的慣れているのです。そのため、会話をする際には、相手の言おうとしていることを汲み取ろうとする姿勢や、相手が聞き取りやすいようはっきりと明確に発音をするという話し方が自然に備わっています。
これらのことから、英語が流暢ではない人や英語を第二言語として話す外国人にとって、カナダ英語は比較的分かりやすく、そして聞き取りやすいため「綺麗」だと称されるのでしょう。
まとめ
英語を流暢に話せるようになるには、二つの重要なポイントがあります。一つは、意思疎通が可能なきちんと伝わる英語を話すことができること。そして、もう一つは、自分の話す英語に自信を持つということです。
総合的に見ても多くの人に伝わりやすい、という国際標準語としてのカナダ英語。そして、日本語訛りのある自分の英語をおかしいと笑わずに、独特のアクセントがあるのは当然だと受け止めコミュニケーションを取ってくれる相手により得られる、自分の英語力への自信。この重要な二つのポイントを兼ね揃えているのがカナダ留学なのです。
せっかく英語を勉強するなら、できるだけ多くの人に通じる英語、そしてさまざまな国の人とも渡り合える英語を目指してみてはいかがでしょうか。そんな方へカナダの語学留学はとてもおすすめです。
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